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原爆で焼失の能舞台 優美な姿「復活」 広島の饒津神社

■記者 加茂孝之

 広島市東区の饒津(にぎつ)神社は3日、祭神としてまつる浅野家初代当主浅野長政の没後四百年祭を開いた。原爆で焼失した能舞台を仮設し、能と狂言を奉納した。

 能の「羽衣」や狂言の「蝸牛(かぎゅう)」など計5演目を上演。招待した住民たち約500人が優美な舞台を楽しんだ。

 能舞台は1910年の三百年祭に合わせて建設されたが、1945年8月6日に本殿とともに全焼した。浅野和同(かずとも)宮司(68)が保管していた三百年祭の写真を基に、安佐北区の日本画家、荒木秀峰さん(67)が、舞台の背景となる鏡板を再現した。舞台は業者が仮設した。

 4日の祭典後、鏡板は神社で保管し、舞台は撤去する。訪れた安佐南区の会社役員、入江幸弘さん(62)は「澄んだ鼓の音も印象的だった。またこの境内で見たい」と話していた。

(2010年4月4日朝刊掲載)

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