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子奪われた母の悲しみ 原爆資料館 寄贈の遺品・手記展示

■記者 明知隼二

 わが子を原爆に奪われた母親たちが寄贈した遺品や手記の展示が8日、広島市中区の原爆資料館で始まった。10月6日まで。

 焼けこげた学生服、もんぺなど、建物疎開作業中に被爆死した当時12~15歳の遺品5点を並べた。それぞれに母親やきょうだいの手記も展示。大やけどで帰宅した娘をなすすべもなくみとったとの記述が、見る人の涙を誘う。無数の遺体が浮かぶ川面に向かい、わが子の名を叫ぶ母の姿を描いた被爆者の絵もある。

 英ロンドンから家族4人で訪れた建築家ジョー・タウンゼンドさん(40)は「わが子を失うなんて想像もできない。犠牲者数だけでなく、人々が経験した痛みや悲しみこそ記憶に留めなくてはならない」と感想を語っていた。

(2010年4月9日朝刊掲載)

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