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国連事務総長 8・6式典へ 広島の被爆者、実現期待

■記者 林淳一郎

 国連の潘基文(バンキムン)事務総長の被爆地広島訪問について、地元の被爆者は10日、「核兵器廃絶の願いを世界につなぐ機会になる」と実現に期待を寄せた。

 「原爆被害を実際に見て被爆者の声も聞いてほしい」。10歳で被爆した広島大名誉教授の北川建次さん(75)=広島市佐伯区=は「大河の流れも一滴から。廃絶に向け一歩でも前進させる決意を固めてほしい」と歓迎する。

 潘事務総長は2007年1月の就任以来、平和記念式典に「核兵器のない世界」実現へ向けたメッセージを寄せてきた。2008年10月には国際社会に向け、核兵器禁止条約の検討開始を促すなど5項目の提案も発表している。

 被爆者の嘉屋重順子さん(71)=西区=は「原爆は過去の問題ではない。今も苦しむ人は多く、世界の誰もが同じ思いをしてほしくない。被爆地で実感したことを国際協議の場で生かしてほしい」と広島訪問の実現を期待する。

 昨年9月にメキシコで潘事務総長と面会した際に式典参加を直接要請したという秋葉忠利広島市長は「心から歓迎したい。核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、廃絶への世界的なうねりをつくり出す」とのコメントを出した。

(2010年4月11日朝刊掲載)

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