ヒロシマ ナガサキ 比較研究 安佐南区出身の四條さん
10年4月13日
■記者 新田葉子
広島市の原爆資料館で学芸員を務めた四條=旧姓勝部=知恵さん(32)が、もう一つの被爆地である長崎に移住したのを機に、広島と長崎の違いをテーマに研究を始めた。両被爆地を「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」と総括する通説には違和感も覚えるため、被爆体験の記憶や継承のあり方について、綿密な文献調査を中心に研究を深めている。
安佐南区出身の四條さんは2000年から6年間、原爆資料館で展示の企画などに携わった。結婚を機に長崎へ。長崎原爆資料館にも勤めた後、被爆体験継承について研究しようと2008年から九州大大学院で学ぶ。
修士課程では長崎県内のキリスト教系の高校で伝えられている被爆体験について調べた。文面からは怒りも恨みもうかがえない遺族の手記に出合ったことなどから、二つの被爆地での「体験の語られ方」に着目。「どこが違うか、なぜ違うかを一つ一つ比較し解き明かしたい」と、博士課程に進んだ今年春から、広島と長崎の違いを探ることにした。
研究は3年計画。本年度は広島市内の教会や広島女学院大(東区)などの調査を進めるという。
長崎は広島に比べ発信力が弱く、資料が残っていないと感じるという。「被害が少なかったわけではない。どんな資料がなぜ消えたのか、痕跡をたどって調べ、残していきたい」と意気込んでいる。
(2010年4月13日朝刊掲載)
広島市の原爆資料館で学芸員を務めた四條=旧姓勝部=知恵さん(32)が、もう一つの被爆地である長崎に移住したのを機に、広島と長崎の違いをテーマに研究を始めた。両被爆地を「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」と総括する通説には違和感も覚えるため、被爆体験の記憶や継承のあり方について、綿密な文献調査を中心に研究を深めている。
安佐南区出身の四條さんは2000年から6年間、原爆資料館で展示の企画などに携わった。結婚を機に長崎へ。長崎原爆資料館にも勤めた後、被爆体験継承について研究しようと2008年から九州大大学院で学ぶ。
修士課程では長崎県内のキリスト教系の高校で伝えられている被爆体験について調べた。文面からは怒りも恨みもうかがえない遺族の手記に出合ったことなどから、二つの被爆地での「体験の語られ方」に着目。「どこが違うか、なぜ違うかを一つ一つ比較し解き明かしたい」と、博士課程に進んだ今年春から、広島と長崎の違いを探ることにした。
研究は3年計画。本年度は広島市内の教会や広島女学院大(東区)などの調査を進めるという。
長崎は広島に比べ発信力が弱く、資料が残っていないと感じるという。「被害が少なかったわけではない。どんな資料がなぜ消えたのか、痕跡をたどって調べ、残していきたい」と意気込んでいる。
(2010年4月13日朝刊掲載)