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在朝被爆者の健診計画 広島県医師会 9月派遣目指す

■記者 増田咲子

 北朝鮮に住む被爆者の健康診断のため、広島県医師会が今年秋の訪朝を目指して調整していることが17日、分かった。実現すれば、被爆地広島の医師による本格的な訪朝健診は初めて。在朝被爆者への支援の進展につながる可能性がある。

 計画では9月中旬から下旬にかけ、県医師会が専門医4、5人を現地に派遣。平壌にある総合病院の金満有病院など2、3カ所で、被爆者の健康診断を実施する。同時期に碓井静照県医師会長も核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部長として訪朝し、現地に医学書を届ける計画がある。

 日朝間に国交はなく、北朝鮮には日本政府からの在外被爆者援護が届かない状況。広島県などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)も北朝鮮から医師の研修を受け入れた実績はない。

 このため県医師会は2008年9月、北朝鮮に医師団を派遣し被爆者の実態を調べた。続いて2009年11月に健診団を派遣する予定だったが、同年5月の北朝鮮の核実験で日本政府が制裁を強化。民間レベルでの交流事業は困難となり、健診は延期していた。

 県医師会によると、在朝被爆者は2008年時点で約380人とみられる。在外被爆者健診担当の松村誠常任理事は「健康診断は渡日治療など次の支援段階へ進む出発点になる。被爆者はどこにいても被爆者であり、取り残された北朝鮮の被爆者を人道的立場から支援したい」と話している。

(2010年4月18日朝刊掲載)

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