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広島でサミット開幕 首脳OB 核廃絶へ議論

■記者 金崎由美

 各国の元政府首脳らが被爆地広島に集い、核兵器廃絶への道筋を議論する「インターアクション・カウンシル(OBサミット)」の第28回年次総会が18日、広島市内で開幕した。3日間の日程で、最終日の20日、「広島宣言」を発表する。

 中区の広島国際会議場で開会式があり、共同議長のクレティエン(カナダ)カールソン(スウェーデン)両元首相や、福田康夫元首相ら各国の元首脳14人をはじめ、閣僚経験者や核軍縮専門家、秋葉忠利広島市長ら約80人が参加した。

 名誉議長を務めるオーストラリアのフレーザー元首相が基調講演。米ロの新核軍縮条約調印などの動きを歓迎する一方、イランの核開発疑惑やイスラエルの事実上の核兵器保有などに触れながら、核兵器禁止条約の必要性を説いた。

 米紙に「核兵器のない世界」を寄稿した4人の一人、ナン元米上院議員は特別講演で「核の脅威は高まっている。ヒロシマを繰り返さないため行動しなければならない」と述べ、5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功に向け、加盟国の努力を促した。

 これに先立ち、メンバーらは原爆慰霊碑や原爆資料館を訪れた。19、20日は会場を南区のホテルに移す。

 イラン政府が出国を禁止したとされる同国のハタミ前大統領や、アイスランドの火山噴火の影響でナイジェリアのオバサンジョ元大統領らが欠席した。

 OBサミット年次総会は故福田赳夫元首相の提唱で1983年に始まり、国内では4回目。被爆65年に当たる今回は初の被爆地開催とした。


元首脳ら被爆の実相知る OBサミット 資料館見学


■記者 金崎由美

 インターアクション・カウンシル(OBサミット)年次総会出席のため被爆地広島に集った各国の元首脳らは18日、広島市中区の平和記念公園を巡り、原爆被害に触れた。

 約80人の参加者は年次総会に先立って原爆ドームを見学。原爆慰霊碑では、総会の共同議長を務めるクレティエン元カナダ首相とカールソン元スウェーデン首相が花を手向けた。

 原爆資料館を案内したスティーブン・リーパー広島平和文化センター理事長によると、館内で一行は「すべての国の首脳がここに来るべきだ」などと口にしながら、被爆前後の市街地パノラマ模型や被爆者の遺品に見入っていたという。

 クレティエン氏は「どう言葉に表したらいいか分からない。核兵器を地球上からなくすため真剣な議論をしたい」と語った。

 松島圭次郎さん(81)=佐伯区=と小倉桂子さん(72)=中区=による英語の被爆証言にも耳を傾けた。何度もうなずいて聞いていた福田康夫元首相は「被爆の惨状をあらためて想像した。繰り返されることがないよう私としても全力を挙げたい」と語った。

(2010年4月19日朝刊掲載)

   

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