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NPT会議 核の役割低減が焦点 軍縮学会、シンポで見通し

■記者 岡田浩平

 5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の見通しについて専門家が討議する日本軍縮学会(会長・黒沢満大阪女学院大教授)のシンポジウムが25日、都内であった。核軍縮に向け、安全保障政策上の核兵器の役割の低減に合意できるかどうかが、焦点になるとの認識で一致した。

 4人が報告、討論した。黒沢会長は核軍縮をめぐり、米国が非核兵器保有国を核攻撃しない「消極的安全保障」を打ち出した点を評価。非保有国は、他の保有国に対し「消極的安全保障」の採用など核の役割低減を求めており「議論の大きなポイントになる」と述べた。

 これに関し、外務省の佐野利男軍縮不拡散科学部長は「米国以外が受け入れるには、核不拡散でどういう合意ができるかも重要になる」と指摘した。

 また、NPO法人ピースデポの梅林宏道特別顧問は、核兵器禁止条約の交渉開始に向けた一定の合意形成を期待。日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターの阿部信泰所長は、NPT再検討会議での懸念材料として、イランの核開発疑惑や、中東の非大量破壊兵器地帯化を目指す「中東決議」の停滞を挙げた。

(2010年4月26日朝刊掲載)

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