×

ニュース

平和の音色 被爆地に 各地巡るチェコのチェロ奏者 一家で演奏会

■記者 増田咲子

 旧チェコスロバキア時代に徴兵拒否で収監されたチェロ奏者ブラダン・コチさん(46)が家族とともに今年夏、被爆地の広島と長崎で、平和や命の大切さを訴えるコンサートを計画している。

 コチさんは現在、チェコのプラハ音楽院教授。1980年代、「音楽家として人に銃は向けられない」と兵役を拒否し収監された。国際人権団体などの支援で釈放されたことに感謝し、日本でも2000年から病院内での演奏会やチャリティーコンサートを開いている。

 広島、長崎でのコンサートは、日本国内での演奏活動を支える山梨県北杜市の山口豪さん(67)が「命を守る大切さを被爆地からアピールしよう」とコチさんに提案。広島女学院理事長の黒瀬真一郎さん(69)が共同代表となって広島実行委を結成し、準備を進めている。黒瀬さんは「原爆ドームをチェコ人が設計するなど広島とのつながりは深く、被爆地から平和の大切さを発信する意義は大きい」と話している。

 演奏会は7月末に中区の原爆ドーム近くと広島女学院ゲーンスホールで開くほか、市内の原爆養護ホームでも計画している。コチさんと妻子の計4人がチェロやバイオリンで、バッハの「G線上のアリア」や平和をテーマにした曲を奏でる。収益は原爆ドーム保全のために寄付するという。

(2010年4月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ