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核兵器禁止 条約交渉を NPT向け平和集会宣言 被爆者も証言

■記者 岡田浩平(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、米ニューヨーク市内で約300の非政府組織(NGO)が主催した国際平和集会は1日夜、核兵器禁止条約の交渉開始などを求める宣言を採択し、2日間の会議を終えた。広島からの参加者も分科会などで討議に加わり、廃絶へ向けた被爆地の強い意志を広めた。

 宣言は2020年までに核兵器を禁止する条約の締結へ、再検討会議で交渉を始めるよう各国政府に呼び掛けている。演説した広島市の秋葉忠利市長は「20年までの廃絶に反対する世界の指導者たちは広島、長崎を訪れるべきだ」と訴えた。

 この日は約20の分科会を開催。「原水爆被害者からの証言」では広島で被爆した嘉屋重順子さん(71)=広島市西区=が姉2人を原爆で亡くした経験を基に「生きている私たちが核兵器をなくすために行動しなければ」と語った。

 このほか「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表と広島市立大広島平和研究所の田中利幸教授は劣化ウラン弾の被害などを紹介。藤田博之広島市議会議長は国際政治を動かす都市の役割を強調した。


核なき世界へ決意示す 国連事務総長


■記者 岡田浩平(ニューヨーク発)

 国連の潘基文(バンキムン)事務総長は1日夜、米ニューヨークで開かれた非政府組織(NGO)の国際平和集会で「今こそ核兵器廃絶を」と訴え、核兵器のない世界実現へ強い決意を示した。核保有国に対しては軍縮義務の履行を求めた。

 事務総長は就任時から核兵器廃絶を最重要課題に位置付けてきたと説明。8月に予定されている広島訪問に関し「核のない世界を目指そうという叫びを上げたい」と意欲を示した。3日からの再検討会議については「(前回の)2005年は失敗だった。繰り返してはいけない」と強調。好材料として米国の「核体制の見直し(NPR)」や、米国とロシアの新しい核軍縮条約の調印を挙げる一方、イランや北朝鮮の核開発問題に懸念を示した。

 さらにNPTが規定する核保有国による核軍縮の交渉義務がされていないとし、再検討会議で保有国に責務を果たすよう求める考えを示した。

(2010年5月3日朝刊掲載)

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