×

ニュース

NPT再検討会議きょう開幕 被爆者ら灯籠手に集会

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)の5年ぶりとなる再検討会議が3日(日本時間同日深夜)、米ニューヨークの国連本部で開幕する。広島と長崎の被爆者を含む市民が1日夜、ニューヨーク中心部の公園に集まり、ろうそくや灯籠(とうろう)を手に集会を開催。会議の成功を願った。

 ともしびがつくり出す幻想的な雰囲気の中、参加者はギター演奏を聴いたり、平和に関する歌を合唱したりした。その後「佐伯区黒い雨の会」の高東征二さん(69)が英語で「原爆被害がいかに広範であるかを知ってほしい」とアピール。周りを囲んだ200人以上が拍手でこたえた。

 飛び入り参加した近くのマーク・ディミノさん(48)は「被爆者とこうして直接出会う機会があれば、米国人の考えは絶対に変わる」と話していた。

 NPT再検討会議は3日の開幕から3日間、各国政府の演説が続く。初日の2番手にイランのアハマディネジャド大統領、午後に米国のクリントン国務長官が登場。イランは米国の後に外相が演説する予定を変更し、大統領自らが演壇に立つ。激しい米国非難が予想されている。

 前回(2005年)にはできなかった最終文書の採択も注目点だ。しかし、会議はイランも含めた全会一致が原則。米国のスーザン・バーク大統領特別代表は4月30日、中国新聞に対し「米国は『最終文書』を成否の基準としない。NPTへの支持を確認し、ウィーン(包括的核実験禁止条約)とジュネーブ(兵器用核分裂物質生産禁止条約)の前進へ幅広い合意ができれば、われわれには成功だ」と語った。

 日本は、オーストラリア政府と共同提案した16項目の「パッケージ」などを軸に、被爆国の外交を展開。福山哲郎外務副大臣が4日昼ごろ演説する。

(2010年5月3日朝刊掲載)

関連記事
核兵器禁止 条約交渉を NPT向け平和集会宣言 被爆者も証言(10年5月 3日)

年別アーカイブ