×

ニュース

NPT再検討会議開幕 核軍縮の道筋探る ニューヨーク

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が3日、米ニューヨークの国連本部で開幕した。4週間の会期中、核軍縮や核不拡散などについて、今後の道筋を話し合う。同日、国連本部ロビーでは日本被団協主催の原爆展もスタート。核兵器の一刻も早い廃絶の必要性を訴えている。

 再検討会議初日はフィリピンのリブラン・カバクトゥラン国連大使を本会議の議長に選出。潘基文(バンキムン)国連事務総長が登壇し、核兵器廃絶に向けて「世界中の人たちが行動を求めている」と各国政府の努力を強く促した。会議の成功を測る基準として、前々回の2000年に最終合意した「核軍縮のための13項目」の再確認など5項目を提案。8月の広島訪問についても「そこで、われわれは核兵器のない世界を支持していると宣言する」とあらためて明言した。

 再検討会議は28日まで。冒頭の3日間は、各国政府の演説が続く。その後、NPT3本柱である(1)核軍縮(2)核不拡散(3)原子力の平和利用―の各委員会で議論を重ね、最終合意文書の採択を目指す。

 原爆展は、パネル約50枚を会議の舞台となる国連本部のロビーに展示した。会議最終日まで、被爆者がほぼ常駐して被爆証言に応じ、訪れる政府関係者や観光客に、被爆の実態に触れてもらう。

 また開幕前日の2日には、会議の成功を求めてニューヨークに結集した各国の市民約1万人(主催者発表)が中心部をデモ行進。核兵器廃絶を沿道から訴えた。日本からも約2千人が参加した。スタート地点のタイムズスクエアでは、秋葉忠利広島市長が「被爆者が生きているうちに廃絶を実現しようではないか」とアピール。拍手と歓声を浴びた。

核拡散防止条約(NPT)
 1970年に発効した核兵器廃絶を理念に掲げた多国間条約。1995年に無期限延長。締約国は約190カ国。事実上の核保有国のイスラエルと、インド、パキスタンは未加盟。北朝鮮は2003年に脱退を宣言した。核保有国を米国、ロシア、英国、フランス、中国に限定し、核軍縮交渉の義務を課す一方、非保有国には原子力の平和利用を認め、核兵器製造や取得を禁止。運用状況を点検する再検討会議が5年ごとに開かれる。

(2010年5月4日朝刊掲載)

関連記事
3日からNPT再検討会議 核軍縮へ各国議論(10年5月 3日)

年別アーカイブ