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イランと米 非難の応酬 NPT会議 政府演説始まる

■記者 金崎由美、岡田浩平(ニューヨーク発)

 国連本部での核拡散防止条約(NPT)再検討会議は3日、開会行事に続き加盟国の政府代表演説が始まった。核兵器開発疑惑が批判を浴びるイランと、同国への追加制裁を求める米国が互いを非難し合う場面もあり、波乱含みの幕開けとなった。

 米国などが一時退席した議場で、イランのアハマディネジャド大統領は「核兵器の保有はいまいましく、恥だ」と強い口調で米国や事実上の保有国であるイスラエルを批判。さらに「非保有国に圧力をかけながら、核兵器を持つ国は依然として不問に付されている」とNPT体制の不平等性を強調した。

 クリントン米国務長官は、自前のウラン濃縮にこだわるイランを念頭に「不拡散体制の将来を危機にさらしている」と主張。アハマディネジャド大統領の演説には「責任逃れ」との非難で応酬するとともに、「国際原子力機関(IAEA)の査察に従わない国への罰則を検討するべきだ」と述べ、イラン問題を徹底追及する構えを鮮明にした。

 再検討会議ではこのほか、インドネシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)について、米国の動向に追従してきた従来方針を変更し、近く批准手続きを始める考えを表明した。政府演説は3日間の予定で、4日は日本の福山哲郎外務副大臣ら41カ国・機関による演説が予定されている。

 また国連本部ビルでは3日、日本被団協による原爆展も開幕。開会セレモニーで坪井直代表委員は「原爆の残虐性への理解が全世界に広がってほしい。被爆者は何があっても、あきらめることなく、核兵器のない世界に全力を尽くす」とあいさつした。

(2010年5月5日朝刊掲載)

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