×

ニュース

非同盟国の不満に配慮 中東決議に五大国言及 イラン問題で協力期待

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 NPT再検討会議で5日、核兵器の保有五大国が共同声明で一層の核軍縮を約束した。「中東決議」の履行努力にも触れた点に、非同盟諸国の不満を和らげ、会議を成功に導きたい保有国側の意図がうかがえる。だが、この日で8割以上が終わった政府演説を聞く限り、核兵器を持つ国と持たざる国の溝は依然、深い。

 非核地帯の創設を目指す中東決議は、1995年の再検討会議がNPTの無期限延長を決めた際に採択した。イスラエルの事実上の核兵器保有に対するアラブ諸国の不満が採択の原動力だった。しかし15年間の進展はなく、今回の政府演説でも「無期限延長とパッケージだったはずだ」と強調したエジプトをはじめ、棚ざらし状態への不満がアラブ諸国を中心に噴出した。

 これを受けた共同声明は、中東非核化への努力を約束することにより、イランの核開発疑惑問題への対応で非同盟諸国の協力を取り付けたい保有国側の思惑が見え隠れする。

 5日の再検討会議では、来週からの本格討議の場となる三つの主要委員会にそれぞれ、中東決議の履行を含む地域問題や条約脱退への対応を議論する下部機関を設けることを決めた。

 国連外交筋によると、NPT脱退問題を取り上げることに反対したイランの説得に、再検討会議のカバクトゥラン議長が手腕を発揮したという。実質議論の舞台は整いつつある。

 しかし、NPTに未加盟のイスラエルをどう扱うか、着地点は見えにくい。米国とイランが激しく対抗している現状では、中東問題で会議が行き詰まる懸念はまだ残る。

 保有国陣営が政府演説で説得力を発揮できていないことも、会議の先行きを不透明にしている大きな要因だ。

 ロシアは数少ない実績である米国との新核軍縮条約の締結を強調。フランスもCTBT批准など過去の実績ばかりに終始した。CTBT批准への動きを見せない中国は、そのCTBT支持を口にした。

 総選挙と重なった英国は今回、冒頭の演説はしない。米国は会議に合わせて保有核数を公表したものの、非保有国の間では、遅々とした核軍縮の進展に対する「言い訳」との受け止めも少なくない。


民主・平岡氏 取り組み説明 各国議員会合


■記者 岡田浩平(ニューヨーク発)

 NPT再検討会議に合わせた各国議員の会合が5日、米ニューヨーク市内であった。衆院から派遣された民主党の平岡秀夫氏(山口2区)が被爆国の国会の取り組みを説明した。

 平岡氏は2008年に広島市で開かれた主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)の様子や、昨年の衆参両院での核廃絶決議を紹介し、「核兵器廃絶に向け一層努力したい」と英語で誓った。

 会合には約20カ国の国会議員らが参加。秋葉忠利広島市長も招かれ、20年までの核兵器廃絶を目指す平和市長会議の取り組みなどを話した。

 平岡氏は会合に先立ち国連のドゥアルテ軍縮担当上級代表と面会。横路孝弘衆院議長が潘基文(バンキムン)事務総長にあてた今年夏の広島訪問を歓迎する書簡を手渡した。

(2010年5月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ