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NPT会議 訪米被爆者 支える善意 生協や現地邦人 証言通訳や介助

■記者 岡田浩平(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて訪米した被爆者をさまざまな人が支えている。生協メンバーは被爆者と行動を共にし、不慣れな旅先での移動や食事を助ける。現地邦人たちはボランティアで被爆証言の通訳を買って出た。

 日本被団協の代表団が宿泊するニューヨーク市内のホテルに5日朝、生協ひろしまの5人が顔をそろえた。中村澄子さん(76)=三原市=ら広島県内から訪れた被爆者の学校訪問に付き添うためだ。

 タクシーの乗り降りを介添えし、荷物を持つ。一緒に食事し、ときに真夏を思わせる日もある天候に「水分をしっかりとってくださいね」と声をかける。2年前にがんを患った中村さんは「私が元気なのは口だけ。世話をしてくれ、本当にありがたい」と細かな気配りを感謝する。

 日本生活協同組合連合会は今回、約100人の代表団が現地に向かい、被団協メンバーの出国から帰国までを支えている。生協ひろしま常勤理事の高田公喜さん(51)=廿日市市=は「体力がぎりぎりの被爆者の人も勇気を振り絞って渡米している。その核兵器廃絶への思いをしっかり受け継ぎたい」。

 一方、ニューヨークや近郊に住む日本人たち約80人は「被爆者サポートチーム」を名乗る。今回、被団協と親交がある平和活動家らの呼び掛けで結成した。主婦や学生、元会社員らを中心に、医師やプロ通訳も交じる。

 学校や国連本部に向かう被爆者に付き添い、証言を通訳する。世話人の一人、神田貴央さん(74)は「若者に体験を伝える被爆者の使命感に感銘を受ける。支えることができてうれしい」と充実した表情を見せた。

(2010年5月7日朝刊掲載)

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