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被爆情報 地図とリンク 原医研の佐藤助教ら

■記者 明知隼二

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の佐藤裕哉助教(地理学)らが原爆投下以前の広島市街の地図データと、複数の被爆関連情報を結びつける作業を進めている。詳細な位置情報から被爆者の疾病発症率や死亡率、土壌から検出された放射線量の分布など、従来の研究成果を総合的に分析することが可能になるという。

 地図上にさまざまな情報を入力できる「地理情報システム(GIS)」を活用し、1925~28年の広島市都市計画図や被爆前の航空写真などを基に、爆心地から半径3~4キロのデジタル地図を製作中。当面は原医研資料のうち、正確な被爆位置が分かる約1万人分の情報と連動させる。

 被爆距離や線量の高精度な算定ができるほか、立体的な地形情報や時間ごとの風向データなどを盛り込めば、原爆投下直後に降った「黒い雨」の降雨範囲を推測することも可能になる。

 これまでは、線量の推定や残留放射線の調査などがそれぞれ個別の地図上でされたため、研究成果を組み合わせた分析などが困難だったという。

 作業は2009年度から2年計画。佐藤助教は「先端技術を使って、蓄積を活用できるシステムにしたい」と話している。

(2010年5月1日朝刊掲載)

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