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故井上ひさしさんの「少年口伝隊」 7月上演へ 

■記者 増田咲子

 4月に亡くなった劇作家井上ひさしさんの朗読劇で、被爆直後に自力で新聞発行できなくなった中国新聞社が口頭でニュースを伝えた逸話を基にした「少年口伝隊(くでんたい)一九四五」を7月、広島市民たちが上演する。核兵器廃絶を願い続けた井上さんの思いを引き継ごうと出演者たちが練習に励んでいる。

 「口伝隊」の3少年が主人公。家族を失い、被爆による急性症状や枕崎台風に襲われながらも懸命に生きようとするストーリーだ。

 被爆体験記の朗読ボランティア富永芳美さん(59)=広島市中区=が「劇を通し、ヒロシマを継承したい」と、1月に実行委を結成。広島市などに住む16歳から68歳までの出演者14人を集めた。

 広島への原爆投下を題材にした「父と暮せば」(1994年)や「紙屋町さくらホテル」(97年)に続き、井上さんが2008年に手掛けた作品。練習を重ねる中、その井上さんが死去した。

 演出の山口望さん(40)=呉市=は「平和の大切さを伝える使命を井上さんからバトンタッチされたような気持ち」と指導に熱を込める。主人公の一人を演じる美鈴が丘高2年峯将人君(16)は「自分たちのような若い世代が原爆の悲惨さを伝えていきたい」と練習に余念がない。

 県内公演は初めてで、7月3日は午後4時と7時半から(手話通訳付き)、翌4日は午前11時と午後2時半からの各2回、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザである。前売り1500円(当日2千円)。富永さんTel090(1689)7327。

(2010年5月11日朝刊掲載)

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