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NPTウオッチ2010 被爆地の思い 浸透願う

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 NPT再検討会議が始まった3日以降、各国の発言をチェックしている。実にもどかしい。これまで100以上の国や国際機関がした政府演説、意見表明で「ヒロシマ・ナガサキ」に言及したのは日本、ナミビア、ザンビアなど数カ国にとどまっているからだ。

 7日には、非政府組織(NGO)として広島、長崎両市長たちが出席したプレゼンテーションが正式日程に組み込まれた。長崎で被爆した谷口稜曄(すみてる)さんが壮絶な体験を語ったが、欠席した政府代表も少なくなかった。谷口さんを含め日本から約2千人が渡米したのは、被爆地の訴えを受け止めたうえで、会議のテーブルについてほしかったからにほかならない。

 日本被団協主催の原爆展が国連本部で始まった3日、展示パネルに見入っていた国際赤十字委員会のピーター・ハービー軍備部長は「議場に置くべきだ」と話していた。被爆者と思いを共有した発言と受け止めた。

 被爆者や市民のほとんどが帰国し、議場と周辺を歩くのは政府や米国内のNGO関係者ばかりとなった。会議はなお約3週間。この歯がゆさが解消されることを期待している。

(2010年5月12日朝刊掲載)

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