×

ニュース

被爆国・保有国の音楽家ら米で共演 NPT会議成功願う

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が国連本部で開かれているのに合わせ、核兵器廃絶を求めるチャリティーコンサートが16日、米ニューヨークのカーネギーホールであった。呼び掛け人のチェンバロ奏者光井安子さん(59)=廿日市市=をはじめ被爆国と、核兵器保有5カ国の音楽家らが共演。世界共通の「言語」である芸術で、会議成功へ機運を盛り上げた。

 米国、ロシア、フランス、英国、中国のピアニスト、合唱団など約20の個人・団体が出演した。光井さんは童謡「さくらさくら」の変奏曲を披露。琴を思わせる華麗な音色に、観客席の各国政府関係者ら約400人は大きな拍手を送っていた。英国の俳優は栗原貞子さんの詩「生ましめんかな」を英文で情感込めて朗読した。

 再検討会議のカバクトゥラン議長も出席。「被爆国と核保有国の市民の共同作業に、心から感謝する」と約3時間の公演に聞き入った。やはり会議に出席しているウィーン国際機関日本政府代表部の小溝泰義大使は「広島で起きたことを忘れてはならないというメッセージをしっかり受け止め、議論に臨む」と話していた。

 コンサートの最後には、広島の小中高生たちが折った千羽鶴を、光井さんたちが核保有国の出演者に贈った。

 米国の「平和のしらべ財団」(鳥居具子理事長)と平和コンサート実行委(山本一隆委員長)主催。コンサートの収益は広島県や広島市などがつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE=ハイケア)に寄付する。

(2010年5月18日朝刊掲載)

関連記事
平和願い折り鶴1万羽 米コンサートへ 広島などの子ども(10年5月11日)
NPTに響け 廿日市の光井さんら5月にNY公演(10年3月14日)
 

年別アーカイブ