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NPT会議 後半入り 「素案」基に議論本格化へ

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は17日、4週間の会期の後半に入った。核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用―の3主要委員会議長が14日に示した合意文書素案を基に議論が本格化する。

 非同盟諸国(NAM)のある政府関係者は「この2週間、核保有国は静かだった。これから反論に出るだろう」と予測する。

 素案は核軍縮については、期限を区切った廃絶目標の行程表を作るための会議を2014年に招集することなどを要請。非核保有国に核兵器を使用しない「消極的安全保障」も強く求めた。

 これらの画期的な内容の原動力の一つとなったのがNAMだ。しかし核軍縮と中東非核化に向けた問題の解決を迫る一方で原子力発電などの査察強化には警戒感を示しており、核保有国との対立が激化するとみられる。須田明夫軍縮大使も素案を「核保有国が受け入れないだろうという内容もある」と分析。大幅に書き換わる可能性を示唆する。

 核不拡散については、国際原子力機関(IAEA)と査察協定を結ぶだけでなく、査察権限を強化した追加議定書を「不可欠」とするなど西側の主張が色濃く出た。イランや一部の非核保有国が反発しそうだ。1995年の「中東決議」をふまえ、中東の非大量破壊兵器地帯化をどう示せるかも焦点となる。

 NPTが「奪い得ない権利」とする原子力の平和利用も、IAEAの査察受け入れ義務を規定したNPT3条をめぐり議論がありそうだ。

(2010年5月18日朝刊掲載)

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