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NPTウオッチ2010 議長、地道に外交努力

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 4週間続くNPT再検討会議の折り返しとなった16日。チェンバロ奏者光井安子さん(廿日市市)が開催を呼び掛け、米ニューヨーク市内のカーネギーホールで開かれた平和コンサートに、カバクトゥラン議長が聞き入っていた。

 幕あいに「会議の状況はどうですか」と声を掛けてみた。「現時点まではスケジュール通りだね」。「大事なことですよね」と返すと、大きくうなずいてみせた。

 フィリピンの国連大使であるカバクトゥラン氏と初めて会ったのは昨年8月、新潟市内で開かれた第21回国連軍縮会議だった。

 研究者や非政府組織(NGO)の専門家らが集う会議。再検討会議やジュネーブ軍縮会議などの政府間会議とは性格が違う。東京から距離もある。参加の理由を聞くと「政府関係者と会い、何を考えているか知るためだ」との答えだった。米国などの政府関係者も出席していたのだ。

 「現時点まではスケジュール通り」なのは、昨年来の地道な外交の成果だろう。しかしコンサートから一夜明けた17日、合意文書作成に向けた議論が本格化すると早くも、核兵器保有国が核廃絶への行程表作りなどの草案に懸念を表し始めた。閉幕は28日。議長の手腕が問われる局面はまだまだある。

(2010年5月19日朝刊掲載)

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