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NPTウオッチ2010 誠実に交渉しているか

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核軍縮に関する第1委員会の議長が示した合意文書の素案は、NPT再検討会議をウオッチしている専門家や非政府組織(NGO)関係者の間でおおむね高い評価を得ている。

 パグウォッシュ会議のジャヤンタ・ダナパラ会長もその一人。25年の期限付きだったNPTを無期限延長した1995年会議の議長でもある。

 米国のNGOが18日に国連本部内で開いた意見交換会では、核廃絶への行程表を作るための国際会議の提案、核兵器禁止条約への言及―などを挙げ「ウエルカム」とたたえた。

 ただ悲しいことだが、核兵器廃絶を望む人たちにとって「良い案」は、核兵器保有国にもそうとは限らない。素案に盛り込まれた行動計画には核保有国の一部が難色を示しており「薄められていく」ことは避けられそうにない。

 この点でダナパラ氏はNPT6条の「誠実に核軍縮交渉を行う義務」について強調した。1996年の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見はさらに「核軍縮交渉を誠実に遂行し、かつ完結させる義務がある」としている。最終合意文書案に向けた議論は熱を帯びてきた。その交渉過程と、国際社会に提示される結論に「誠実さ」があるか。大事な判断基準だと思う。

(2010年5月20日朝刊掲載)

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