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在韓被爆者5割「不安」 長崎大調査 非体験者の2倍

■記者 増田咲子

 在韓被爆者のうち心理的に不安を抱える人の割合が、韓国の被爆していない人と比べ2倍近くに上ることが、長崎大大学院医歯薬学総合研究科(長崎市)の中根秀之教授(47)=精神医学=らの調査で分かった。20日から広島市中区で始まる日本精神神経学会学術総会で発表する。

 調査は2008年にソウル、大邱の両市で実施。広島、長崎で被爆した373人と、被爆していない同世代の429人に直接聞いた。

 不眠や不安についての「総合健康質問表」を使った調査では、問題のある非被爆者が26.8%(115人)だったのに対し、被爆者は50.5%(189人)と1.9倍に上った。高齢者の抑うつ状態を示す評価尺度の高得点者の割合でも、被爆者が非被爆者を上回った。

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状の調査では、平均点が長崎の被爆体験者とほぼ同じとなり、原爆が心理的に大きな影響を与えている可能性が高いと分析している。

 中根教授は「在韓被爆者も精神医学的に問題を抱えていることが分かった。今後、十分なケアが必要だ」と話している。

(2010年5月20日朝刊掲載)

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