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ルオー連作版画 広島市へ 東京の所有者 全58点寄贈意向

■記者 増田咲子

 東京都在住の税理士佐藤吉重さん(75)が、戦争の悲惨さをテーマにしたフランスの宗教画家ジョルジュ・ルオー(1871~1958年)の連作銅版画集「ミセレーレ」全58点を広島市へ寄贈する意向を示している。「被爆地広島の市民に活用してもらいたい」と希望する。

 ミセレーレとはラテン語で「哀れみ」。ルオーが約15年かけて制作した代表作の一つで、戦争の非人道性や人生の不条理を、キリストや人間の姿を通して表現している。

 佐藤さんは購入直後の1990年、「世界平和の原点である広島で展示してほしい」と、公益財団法人ひろしま美術館(広島市中区)に寄託した。同美術館は現在、一部を展示しているが、佐藤さんは市民による企画展などで全点をより多くの人にみてほしいと希望。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)に相談し、市への寄贈を検討している。

 「核兵器廃絶や世界平和を願うヒロシマの思いにも呼応している作品。ぜひ活用してほしい」と話している。

(2010年5月21日朝刊掲載)

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