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NPT会議 目標年次を削除 小委員会議長が合意文書修正案

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 米ニューヨークの国連本部で開会中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で19日夕、核軍縮に関する第1委員会の小委員会議長が、合意文書素案のうち「行動計画」の修正案を提出した。核兵器廃絶に向けた目標年次のほとんどを削除。核兵器保有国に歩み寄った内容で、非同盟諸国(NAM)の反発は必至だ。

 素案は核保有国による核軍縮進展のための交渉を2011年までに開始し、12年にその結果をNPT加盟国に報告するとしていた。しかし、修正案はこれを「適切な時期」に開始し、「次の再検討会議までに報告」と後退。

 「特定期限内に核兵器を全廃する行程表作りのための国際会議を14年に開催する」との文言は「期限を設けないハイレベル協議を開催する」とし、「特定期限内に」も消えた。

 また「核保有国は、兵器に使える核分裂物質のすべてを12年までに公表することを約束。過去の生産に関する情報の提供も奨励される」という文言は削除され、核兵器材料の保有量について透明性を求める表現も後退した。

 修正案は一方で、素案にはなかった「先制不使用(宣言)」の議論を促した。中国以外は先制不使用に消極的なことから、核保有国の反発も予想される。

 再検討会議のカバクトゥラン議長は、修正案を21日までに出すよう主要3委員会に求めている。

(2010年5月21日朝刊掲載)

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