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NPTウオッチ2010 原爆展訪れ 初心に帰れ

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 3日のNPT再検討会議開会と同時に、国連本部ロビーで始まった原爆展。会場に置かれたノートへの見学者の書き込みは100ページに達した。

 「こんなのひどすぎる」「私たちは過ちから学ばなければならない」…。米国をはじめスリランカ、マダガスカルなど、書き込まれた国名も言語も実にさまざまだ。

 会議が終わる28日まで会場に常駐する日本被団協の木戸季市事務局次長(70)は「長崎の爆心地から約1.6マイル(2キロ)で被爆、やけどを負いました」などと、地図を指しながら被爆体験を語っている。

 「涙を流しながらパネルに見入る人も多い。原爆被害の実態を初めて知るのだろう」。この場で開く意義を実感する。

 残念なのは、国連本部の一部が改装工事中のため、再検討会議の議場が別棟にあることだ。せっかくの展示物が会議に参加する政府代表たちの目に触れる機会は多くない。

 会議は、終盤に向けて攻防が激化している。核兵器保有国と一部の非核兵器国による机上での議論が延々と続くうち、この会議が目指すべき目標がかすんでくるように感じている。こんなときこそ、各国代表は「初心」に帰れるこの場に足を運び、核兵器廃絶への思いを再確認するべきだと思う。

(2010年5月23日朝刊掲載)

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