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原爆症 審査待機者の解消図る 厚労省方針 年度内に大半完了

■記者 岡田浩平

 原爆症に認定するか却下するかの審査が遅れている問題で、厚生労働省は24日、来年度末までに一定の審査待ち解消を図る方針を打ち出した。来月から審査会の回数を増やし、年間6千件以上を目標に審査を進める。現時点で審査を待つ約6600件の大半は本年度に審査する。

 厚労省は、審査に当たる医師らの被爆者医療分科会の下にある部会を二つ増設。「積極認定」の対象外の病気や、複数の病気での申請など分科会にかけられていた事例を分担し、昨年度実績で5003件(うち却下2189件)だった審査の加速を図る。

 これにより、現時点での審査待ちを本年度末までにほぼ解消。一方、今後の申請は最近の状況から年間約3600件(毎月300件)と推定し、本年度、来年度の申請分も来年度末までに審査を終える計画だ。

 以降は申請と審査の件数が均衡し、必要書類さえ整っていれば申請から最短1カ月ほどで審査できる状況になると見込まれる。  厚労省健康局総務課によると、現時点の審査待ちは昨年度までの2年間の申請分が大半だが、申請から2年以上待っている事例も約100件あるという。

 厚労省の対応について日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は一定に評価しつつ「却下の増加が懸念される。認定や却下の理由についての情報公開が重要になる」と話している。

(2010年5月25日朝刊掲載)

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