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NPT会議 最終週入り 合意文書で攻防続く 

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は24日、核兵器保有国と、非同盟諸国(NAM)などの対立を抱えたまま最終週を迎えた。核軍縮の行動計画や中東の非核化、IAEAの査察強化…。課題山積の中、合意文書の28日採択を目指し、議場内外での交渉が激しさを増す。

 24日は、各委員会を再開し、前週から持ち越した修正案に合意。各委議長まとめを同日夕に総会に提出する運びだ。3委での議論を一本化し、25日朝に再検討会議議長が合意文書案を示し、全体会議などで討議を続けることにしている。

 対立点の柱の一つは、核軍縮の行動計画だ。第1委の当初の合意文書素案は、核兵器廃絶への行程表を作る会議を2014年に開催することや、核兵器禁止条約に言及するなど、非核保有国の意向をくんだ内容だった。

 しかし期限を設けることに反対の保有国と、「期限を決めないと核軍縮は進まない」として当初案に押し戻そうとするNAMの間で対立は激化している。

 一方「NAM側は『中東問題』で米国の譲歩を引き出す戦術。会議を成功させたい米国の足元をみている」(欧州外交筋)という見方もある。

 その中東問題で、1995年会議の決議に基づきイスラエルも巻き込んだ非大量破壊兵器地帯づくりへ道筋を描けるかも焦点だ。イスラエルの名指しを避けたい米国の出方によっては、アラブ諸国が反発。決裂しかねない。

 また、核不拡散体制に不可欠とされるIAEAの追加議定書についてどれだけ強い表現にできるかも、日本など熱心な推進派と、「各国の判断」と警戒するNAMの一部の間で溝が深い。

(2010年5月25日朝刊掲載)

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