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議長が合意案提示 NPT会議 核軍縮 素案から後退

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は25日、カバクトゥラン議長がとりまとめた合意文書案を加盟国に提示した。24日に第1(核軍縮)第2(核不拡散)第3(原子力の平和利用)の各委員会が会合後に提出した報告書を踏襲し、核軍縮分野では14日に提出された素案から内容が大きく後退している。

 核軍縮は24項目の行動計画などからなる。核廃絶の行程表をつくる会議を開催する提案は、委員会審議の過程で「2014年」などの年次が削られたまま。今後の討議でも復活へのハードルは高い。

 非核兵器保有国に核兵器を使用しないと約束する「消極的安全保障」も、無条件かつ法的拘束力を求める非同盟諸国(NAM)に対して、核保有国が強く反対している。

 1995年会議で合意した「中東決議」の前進は、最難関の課題となりそう。すべての中東諸国を集めて国連事務総長が非核兵器地帯化を話し合う会議を12年に開くことや、イスラエルを名指ししてNPT加盟を求めるなどの提案に、米国などが応じるかが鍵となる。

 24日の各委の協議は、いずれも核兵器保有国とNAMの溝が埋まらず、全会一致の賛同を得ないまま委員会議長は報告書を提出せざるを得なかった。会期末の28日の採択を目指し、水面下の協議も含めた交渉は最終局面を迎えた。

(2010年5月26日朝刊掲載)

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