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NPT会議 対立点ごとに「調整役」を任命

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終宣言案をめぐって意見対立の激しい4分野を集中議論するため、カバクトゥラン議長が4人の「調整役」を任命、分野ごとに非公式協議を始めた。会期末の28日が迫る中、懸命な調整が続いている。

 この日は夕方まで非公開の全体会議で文案を審議。その後(1)核軍縮(2)地域問題(1995年の中東決議)(3)核査察(4)機構問題(条約体制の強化など)―に分かれて協議に入った。

 外交筋によると、オーストリア代表が調整役の核軍縮分野では、核兵器廃絶に向けた期限の設定を求める文言に反発する核兵器保有国と、具体的な目標年を入れることを求める非核保有国の議論がなお続いている。

 また機構問題は、NPT担当の常勤者を置くなど体制改善策を協議した。5年に1度の再検討会議だけでなく常時、条約の運用状況を確認できることになるが、一部の核保有国などが難色を示しているという。

 27日午後1時までに、非公式協議の結果を議長に報告。議長は夕方までに最終案を提示し、翌28日の採択を目指す。

 「歩み寄りがないまま時間切れになるかもしれない」(欧州外交筋)と最終宣言採択を危ぶむ声が強まる一方、「採択の実現を重視するあまり、中身で妥協しすぎては逆に反発が強まる」(別の欧州外交筋)という意見もあり、予断を許さない。

(2010年5月28日朝刊掲載)

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