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「最終文書」採択へ調整 NPT会議最終日

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 米ニューヨークの国連本部で4週間にわたって開かれてきた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は28日、最終日を迎えた。27日夕には、カバクトゥラン議長が核保有国への妥協が色濃い「最終文書」案を加盟国に提示。会議の成否を握る文書採択に向けた議論は大詰めの局面に入った。

 文案は24日に発表した「最終宣言」案を、その後の議論を受けて修正した。核軍縮分野に盛り込んだ行動計画は22項目。核兵器廃絶に向けた行程表を作る国際会議開催については「2014年」を削った修正案からさらに後退し、提案自体を落とした。

 多国間の核軍縮協議ではなく、各国が核軍縮を進めることになっているほか、「先制不使用」の文言は削除。核兵器国に対し、新たな核兵器の開発などをやめるよう求める項目も消えた。一方で、取り組み結果を2014年のNPT準備委員会に報告するという項目が加わった。

 当初「最終宣言」としていた文書は、イランなどの批判を受け「最終文書」に戻した。

 27日は(1)核軍縮(2)地域問題(1995年の中東決議)(3)核査察(4)機構問題(条約体制の強化など)―の分野ごとに非公式協議を継続したが、対立の解消には至らなかった。28日の最終文書採択は混乱も予想される。

 また会期末が迫る中、日本、オーストラリアなど6カ国の外相・軍縮担当相は27日、連名で緊急声明「核兵器のない世界のビジョンを支持する閣僚による結束の呼び掛け」を発表。「(合意文書の採択ができなかった)2005年の会議の失敗を繰り返してはならない」と訴えた。

(2010年5月29日朝刊掲載)

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