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厚労省が原爆症認定基準の最終案提示 「原因確率」使わず

■記者 道面雅量

 厚生労働省の「原子爆弾被爆者医療分科会」(会長・佐々木康人国際医療福祉大放射線医学センター長、19人)が25日、東京・霞が関の同省であり、原爆症認定の新しい認定基準の最終案が同省から示された。

 最終案は、既に公表されている骨子に沿った内容。爆心から約3.5キロ以内で被爆するか、爆心地(爆心から約2キロまで)に100時間以内に入ったり1週間程度滞在したりした被爆者は、がん、白血病、副甲状腺機能高進症、放射線による白内障、心筋梗塞(こうそく)の5種類の病気になった場合、積極的に認定する。

 これまでの認定基準の柱だった「原因確率」は認定を早めるための事務処理にしか使わない。基準に当てはまらない申請者も個別審査の上、総合判断して判定する。また、医療分科会の下に4つの部会を設け、被爆者医療に携わってきた医師などの臨時委員を追加する考えも示した。

 日本被団協や原爆症認定集団訴訟の原告らは、「被爆者の間に線引きすることになる」として距離や時間で被爆者を限定することに難色を示してきたが、同省は「公金を使う以上、被爆による病気だと整理するための理論が必要」(健康局)としてイメージで示した限定は残した。同省は新年度から運用を始める方針。

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