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新滑走路 運用を開始 岩国基地 米軍再編進む

■記者 広田恭祥

 米海兵隊岩国基地(岩国市)の滑走路移設事業で1キロ沖合に移った新滑走路の運用が29日、始まった。日米両政府や地元関係者が出席して運用開始式があり、日米の1番機が着陸した。事故の回避や騒音軽減が期待される一方、米海軍厚木基地(神奈川県)から2014年までの空母艦載機移転など在日米軍再編が進むことになる。

 新滑走路は長さ2440メートル、幅60メートルで、旧滑走路と同規模。そばで式典があり、榛葉(しんば)賀津也防衛副大臣、来賓のジョン・ルース駐日米大使、福田良彦市長ら約300人が出席。ルース大使は日米安保条約改定50周年の節目の新滑走路運用を「日米のパートナーシップの明るい未来の証しだ」と強調した。福田市長は「積年の悲願が実を結んだ」としつつ、艦載機移転には「複雑な気持ちには政府もしっかりと耳を傾けていただきたい」とした。

 マイケル・オハローラン基地司令官や来賓がテープカット。閉鎖した旧滑走路を離陸したFA18ホーネット戦闘攻撃機と海上自衛隊岩国基地のUP3D訓練支援機が着陸した。

 沖合移設は、1970年代からの官民の運動を経て97年6月に着工。愛宕山地域開発事業地から搬出した土砂約2095万立方メートルで約213ヘクタールを埋め立てた。当初は05年度完成、総事業費約1600億円を見込んだが、地震対策などで工期を3回延長。完成予定は10年度末、同約2500億円になった。

 新滑走路は12年度再開予定の民間空港でも使う。一方、06年5月の米軍再編最終報告に空母艦載機移転が盛り込まれ、市民には「沖合移設が受け皿になった」との反発も根強い。

(2010年5月30日朝刊掲載)

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