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NPT再検討会議閉幕 最終文書採択 核兵器廃絶へ64の行動計画

■記者 金崎由美(ニューヨーク発)

 米ニューヨークの国連本部で3日から開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は28日(日本時間29日午前)、「核兵器のない世界」実現を決意し、64項目の行動計画を柱とする最終文書を全会一致で採択して閉幕した。決裂した2005年の前回会議の失敗を繰り返すことなく、カバクトゥラン議長が27日に示した原案を認めた。

 最終文書は核軍縮と核不拡散、原子力の平和利用の3分野に関する行動計画で構成されている。NPTの条文ごとに履行状況を再確認する部分は、議長の考えを述べた補助的な文書とした。

 核軍縮については、2000年会議で合意した核兵器廃絶への「明確な約束」を再確認。核兵器保有国が核軍縮の取り組み状況を14年のNPT準備委員会で報告し、15年の再検討会議で次なる核軍縮のステップを検討するとした。「核兵器禁止条約の交渉検討」も初めて盛り込まれた。

 一方で、核兵器廃絶に向けた行程表作りのための国際会議開催に言及した14日の主要委員会素案は修正を重ねるたびに表現が後退し結局、会議の提案は削除された。核保有国への妥協が見られた。

 また、今回の会議の最大の焦点とみられていた1995年会議の「中東決議」実行へ、中東の非核兵器地帯化を話し合う会議を2012年に開くとした。  核拡散の防止に不可欠とされる国際原子力機関(IAEA)の追加議定書を、すべての国が速やかに締結するよう求めたほか、北朝鮮については、NPT脱退を表明して2度核実験をしたとして強く非難した。

 最終文書の採択後、各国代表が討論。日本の須田明夫軍縮大使は「100人の被爆者を含む数千人が日本から来て会議を注視した。決して満足できる結果ではないが、2005年会議と比べれば大きな成功。今後は誠実な実行が問われる」と訴えた。

(2010年5月30日朝刊掲載)

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