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被爆女性の歌 レコード寄贈 原爆資料館に広島の山本さん

■記者 伊藤一亘

 被爆女性の心情を歌った「ほほゑみよ還れ(原爆乙女の唄(うた))」のSPレコードが2日、広島市中区の原爆資料館に寄贈された。被爆者治療などに尽力した医師原田東岷さんの遺品。譲り受けた音楽愛好家山本輝さん(56)=広島市西区=がみつけ、寄贈を申し出た。

 「ほほゑみよ…」の歌は1953年、当時20歳だった佐古美智子さん(78)=廿日市市=が、原爆によるやけどのつらさや平和の願いをつづった詩を基にしている。声楽家、四家文子さんが歌い、録音。当時東京で治療中の被爆女性7人も合唱で参加した。佐古さんら当時の関係者が所有する数枚しか残っていない。

 山本さん、佐古さん、原田さんの長男義弘さん(73)=広島市中区=が資料館を訪ね、前田耕一郎館長に手渡した。前田館長は「貴重な資料。録音させてもらった音源はあるが、レコード自体は所蔵しておらず、ありがたい」と感謝。佐古さんは「当時、口にできない心情をつづった詩。自分の生きた証しが保管されるのは幸せ」と喜んでいた。

(2010年6月3日朝刊掲載)

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