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「怒りの広島」「祈りの長崎」イメージだけ 広島大准教授が分析

■記者 林淳一郎

 被爆地広島、長崎が「怒りの広島」「祈りの長崎」と形容される傾向について、その違いが被爆60年後の被爆者アンケートからは読み取れないことが、広島大平和科学研究センターの川野徳幸准教授(44)=原爆・被ばく研究=らの分析で明らかになった。川野准教授は「イメージにすぎず、核兵器なき世界を求める被爆者に違いはない」と話している。

 6日に長崎市である原子爆弾後障害研究会で報告する。

 川野准教授らは2005年、日本被団協などと協力し全国の被爆者約3万8千人を対象にアンケートした。今回あらためて回答者約1万3千人のうち6782人の自由記述に着目。出現頻度の高い上位30の単語を分析した。

 広島・長崎の別では、それぞれ「怒り」「祈り」に関する単語はなかった。一方「戦争」「思い出す」「子ども」など30単語のうち26は共通していた。

 男女別では、「水」「平和」など21の単語が一致。一方で男性は「核兵器」「核」「日本」、女性は「父」「姉」「学校」を使う頻度が目立った。

(2010年6月5日朝刊掲載)

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