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援護法改正へ要求案 日本被団協 国家補償を明記

■記者 岡田浩平

 日本被団協は、被爆者援護法の改正に取り組むための要求案をまとめた。結成当初から求め続けている原爆被害に対する国家補償の明記や原爆症認定制度の見直しが柱。15、16両日の総会で議論を始め、今秋をめどに要求を最終決定、政府や各政党に働き掛ける。

 要求は8項目で、最も重視するのは前文の改正。原爆被害への国家補償が法の趣旨▽核兵器の廃絶の決意―の明記を求める。

 国家補償の具体策として、原爆死没者の遺族への弔慰金や特別給付金の支給を提案。現行の被爆者への手当を整理し全員への被爆者手当の支給も求める。

 原爆症認定制度については、個別に審査する現行制度をやめ、あらかじめ対象の病気を政令で定め、明らかに原爆以外の原因がわかる場合以外は認定するよう簡素化。病気の種類などに応じて被爆者手当に加算する仕組みにする。

 ほかに(1)希望者への被爆2世、3世手帳の発行と一定の病気への医療費の支給(2)海外に住む被爆者への医療費支給の拡充(3)被爆者健康手帳の交付要件の緩和―も盛り込んだ。

 被団協は1956年の結成当初から「国が遂行した戦争によって生じた原爆被害に対し国の責任を明らかにして償うことが同じ被害を起こさせない一歩」として国家補償を要求。1994年に成立した現行法には国家補償が明記されておらず、遺族への補償がない点を主な理由に改正を求める声が根強くあった。

 2003年から取り組んだ原爆症認定集団訴訟が終結に向かう中、厚生労働省は認定制度の抜本改善に援護法改正の必要性を強調し始めている。それを踏まえ、被団協内に委員会をつくり法改正の要求案作成を進めていた。田中熙巳(てるみ)事務局長は「被爆者を二度とつくらないため法改正に向けた運動を高めたい」と話している。

(2010年6月13日朝刊掲載)

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