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被爆体験をアラビア語訳 エジプトの大学准教授 年内の完成目指す

■記者 明知隼二

 「ひろしまを語り継ぐ教師の会」の被爆体験集「語りびと」をアラビア語訳する作業が進んでいる。1992年に広島大で博士号を取得したエジプト・カイロ大のマーヒル・エルシリビーニー准教授(50)=日本語学=が翻訳。年内の完成を目指す。

 マーヒル氏は今年2月「核兵器が使われることがないよう、日本人の悲惨な体験を伝えたい」と、元カイロ日本人学校長の平野幸三さん(70)=廿日市市=に相談。平野さんは大学の同級生で、教師の会事務局長の梶矢文昭さん(71)=広島市安佐南区=たちが昨年出版した「語りびと」を紹介した。

 3月に作業を始め、手記41編のうち3編が終わったところ。「建物疎開」など言葉の意味や地名の読みなど、電子メールでやりとりをして進めている。

 原爆資料館によると、同館にアラビア語に訳された被爆証言資料はないという。梶矢さんは「アラビア語圏でも読まれることは大変うれしい」と期待している。

(2010年 6月15日朝刊掲載)

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