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原爆症訴訟 倉敷の女性認定せず 岡山地裁判決

■記者 中島大

 国が原爆症認定申請を却下したのは違法として、倉敷市の無職川中優子さん(65)が処分の取り消しと300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、岡山地裁であった。近下秀明裁判長(山口浩司裁判長代読)は請求を棄却した。

 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会によると全国の地裁、高裁であった26例の判決のうち認定がなかったのは初。これまで306人が提訴し、認定されなかった原告は18人目となった。会見した川中さんは「納得できない。控訴するかどうかは弁護団と相談して決めたい」と語った。

 近下裁判長は判決理由で「原告の受けた放射線量はほとんど0グレイで人体に有害な影響を与えるほど強力ではなかった。申請疾病の子宮体がんは一般的なもので、放射線被曝(ひばく)に起因したものではない」と指摘した。

 原告弁護団は「これまでの全国の判決では放射線量を数値化することはなかった。急性症状も原告の主張を無視している。被爆者援護法の精神に反する判決だ」と批判した。

 判決によると、川中さんは生後11カ月のとき、爆心地から約4キロ離れた広島市仁保町本浦(現南区)の自宅で被爆。2000年に子宮体がんと診断された。

(2010年6月17日朝刊掲載)

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