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二・五原則化 議論をけん制 平和学会最終日

■記者 岡田浩平

 「核なき世界」を統一テーマにした日本平和学会の研究大会は最終日の20日、東京都内で、東アジアの安全保障や被爆体験の継承など多角的な視点から議論を深めた。

 日本の外交、安全保障政策の在り方を討論した部会で、成蹊大の遠藤誠治教授(国際政治)が、国家間の相互不信が中国の軍拡や北朝鮮の核問題を招いたと指摘。「日本のミサイル防衛も他国にとっては十分に攻撃的意味を持つ。そうではないという水掛け論をするのではなく、互いに軍縮を進めようと提案すべきだ」と唱えた。

 琉球大の我部政明教授(同)は東アジアの軍縮、不拡散のため日本の「非核三原則」の堅持がより有用とし、核密約問題に端を発した「二・五原則化」の議論をけん制した。

 七つの分科会のうち一つは被爆体験をめぐり意見を交わした。40年以上被爆者調査に取り組んだ一橋大名誉教授の浜谷正晴さんは、被爆者の「心の傷」にもっと着目すべきだと主張。長崎が舞台の原爆漫画の作者である西岡由香さん=長崎市=は「若者への継承を願って描いた」と語った。

(2010年6月21日朝刊掲載)

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