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涙誘う犠牲者遺品 原爆資料館で新着124点展示

■記者 増田咲子

 原爆資料館(広島市中区)で22日、2009年度に寄贈を受けた資料の展示が始まった。被爆者の遺品も多く、訪れた人の涙を誘っている。

 友田澄子さん(83)=中区=が資料館に寄せたのは、弟宏英(こうえい)さんがのこした革ケースと万年筆3本。当時16歳だった宏英さんは爆心地近くで被爆し、毛髪が抜け、高熱を出して3週間後の8月27日に亡くなった。

 友田さんが数年前、自宅を整理していて見つけたという。革ケースの中に弟の名前や住所を記した紙とお守りが入っていた。「勉強したくてもできなかった弟を思い、母が形見として大事にしていたのではないか」

 友田さんは自らも被爆したうえ、原爆で父ともう1人の弟も失った。「原爆は絶対に駄目。弟と同世代の子どもたちにも見てもらいたい」と願っている。

 124点を展示している新着資料展ではこのほか、両親が亡くなった自宅の焼け跡で見つけた硬貨、被爆死した祖母の日傘など原爆犠牲者の形見の品も並ぶ。来年6月12日まで。

(2010年6月23日朝刊掲載)

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