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被爆者の川本さんの体験が原爆漫画に ごとうさん描く

■記者 林淳一郎

 両親、きょうだいの計6人を原爆で亡くした被爆者川本省三さん(76)=広島市西区=の体験を基にした漫画「母ちゃんの祈り」が発売中の月刊誌に掲載された。静岡市の漫画家ごとう和(かず)さん(58)が描いた。7月末には単行本になる。

 秋田書店(東京)が発行する「フォアミセス」7月号。川本さんは「千田勇二」として登場し、母からよく「悪いことしたらいけん」と言われた幼いころや、静岡市の小学生たちと交流する現在の姿など、さまざまな実話や子どもたちへの思いを交えて物語は進む。

 袋町国民学校(現中区の袋町小)6年生だった川本さんは当時、広島県北に学童疎開。3日後に広島に戻ったものの、家族6人を原爆に奪われた。結婚をあきらめ、30歳すぎに岡山市へ。飲食店で働き、弁当会社を営んだ。2004年に広島に帰郷し、現在は原爆資料館(中区)のボランティアガイドに励んでいる。

 「戦争の愚かさを伝えたい。広島はその原点」と話すごとうさんは、人づてに川本さんと知り合い、被爆者岡田恵美子さん(73)=東区=の体験とともに漫画化。2006年に単行本「生きるんだ」として出版した。今回の「母ちゃんの祈り」は続編に当たり、単行本は7月28日に発売される。

 川本さんは「母の教えは人生の支えになった。親子で原爆や平和について考える時間をつくってほしい」と話している。

(2010年6月29日朝刊掲載)

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