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3.11とヒロシマ

『フクシマとヒロシマ』 浜通りの50人 アンケート 事故「収束していない」 健康調査 半数が未返送

 
国・県へ不信感強まる

 福島第1原発事故による被害が大きかった福島県東部の通称「浜通り」の住民50人に対する中国新聞社の定点取材で、国や県に対する住民の不信感が強まっていることが明らかになった。政府の昨年12月の事故収束宣言の一方、「収束したと思う」はゼロ。福島県の県民健康管理調査には半数が返送していなかった。(下久保聖司)

 連載「フクシマとヒロシマ」の一環で、これまで事故3カ月後と半年後に、現状などをアンケートしてきた。今回は事故1年に合わせ、2月中旬から今月にかけて文書と電話などで聞いた。3人は取材に応じたがアンケートには回答しなかった。

 収束宣言について、野田佳彦首相が原子炉の冷温停止を2011年中に達成することを9月の国連総会で「公約」していたことに触れ「住民の安全より、国際社会へのアピールを優先するのはおかしい」(飯舘村・30歳男性)との非難があった。「事故直後の情報操作と同じ。体質は変わらない」(広野町・43歳男性)などの厳しい声も出た。

 一方、福島県が約200万人の全県民を対象に始めた県民健康管理調査については、47人のうち25人が問診票を返送していないと回答した。「調査しても治療してくれないならモルモットと同じ」との声があった。

 用紙の配布開始が6月だったこともあり「事故直後の滞在場所や何を食べたかなど覚えているはずもない」などの指摘もあった。

(2012年3月12日朝刊掲載)

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