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原爆ドームのバルコニー手すり 元安川から引き上げへ

■編集委員 西本雅実

 原爆ドームの一部で元安川左岸に眠る旧広島県産業奨励館のバルコニー手すりなどの被爆石が、12日に引き上げられる。広島市中区の県立美術館で開かれる企画展(8月5日~9月20日)で展示し、その後は原爆資料館で保存される。

 「廣島から広島 ドームが見つめ続けた街」展を主催する同館とNHK広島放送局、ドームを管理する広島市が実行委員会をつくり、市民らの手で引き上げる。国土交通省太田川河川事務所との協議も調い、元安川での作業に伴う河川の一時使用届を提出する。

 手すりは、1915年に建設された旧奨励館の正面5階バルコニーに位置し、21本あったが、被爆でほとんどが崩落した。

 ドームそばの元安川に下りる階段下の北側部分で干潮になると、飾りが施されたほぼ完全な形の1本を含め加工された4点の花こう岩が現れるのを昨年6月、市などが確認した。

 昨年の確認作業に訪れ、当日も立ち会う東京大の田賀井篤平名誉教授(鉱物学)は「山から切り出されて原爆に遭い、65年後に河床から引き上げられるという被爆石がたどってきた歴史に多くの人が思いをはせてほしい」と呼び掛けている。

(2010年7月1日朝刊掲載)

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