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核実験被害に関心を チャジュノソワ医師に聞く

■記者 金崎由美

 広島の市民団体、ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト(佐々木桂一代表世話人)などでつくる実行委員会は3日、カザフスタン放射線医学環境研究所副所長のナイラ・チャジュノソワ医師(58)=写真=を招いて市民交流会を開く。旧ソ連が核実験を繰り返したカザフスタンのセメイ市(旧セミパラチンスク)の現状について聞いた。

次代の犠牲なくそう

 ―最後の核実験から20年が過ぎました。市民への影響は。
 健康被害を訴える住民は多い。心臓や甲状腺の疾患、がんなど複数の病気を抱えている。

 被害の実態調査ができるようになったのは、旧ソ連が崩壊し1991年にカザフスタンが独立してからだ。住民の健康状態を追跡するため、放射線影響研究所(広島市南区)などと共同でデータベースを作っている。登録数は約16万人で、100万人以上とされるヒバクシャの一部。うち8万人以上が死亡した。十分な治療を受けられず亡くなった人も多い。

 ―交流会に参加する目的は。
 被爆地広島に住んでいても、特に若い人は核実験被害については知らないのではないか。私が語ることによって、少しでも多くの人に関心を持ってもらえればと思う。

 世界に核兵器がある限り、放射線の被害は起こりうる。ヒロシマだけ、セメイだけの問題ではない。私たちには次世代が犠牲にならない世界をつくる責任がある。

                             ◇

 市民交流会は3日午後5~8時、広島市中区袋町の広島まちづくり市民交流プラザで。チャジュノソワさんの講演やシンポジウムがある。無料。Tel082(274)1634=橋村さん。

ナイラ・チャジュノソワ氏  1952年生まれ。第1医科大(現モスクワ医学アカデミー)卒。1994年から1年間、広島大原医研の客員教授を務めた。セメイ市在住。

セミパラチンスク核実験場  セメイ市の西約150キロに位置する旧ソ連の核実験場。広さは約1万8500平方キロ。1949年に同国初の実験が行われてから1989年まで、大気圏を含む450回以上の実験が行われた。

(2010年7月2日朝刊掲載)

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