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故井上ひさしさんの朗読劇「口伝隊」 広島で220人鑑賞

■記者 増田咲子

 4月に亡くなった劇作家、井上ひさしさんの朗読劇「少年口伝隊(くでんたい)一九四五」の公演が3日、広島市中区の市まちづくり市民交流プラザであった。原爆投下直後の中国新聞社がニュースを口頭で伝えた逸話を基にした物語。2回の舞台を計約220人が鑑賞した。

 原爆で家族を失い、街角で新聞記事を読み上げる「口伝隊」になった少年が主人公。被爆による急性症状に悩まされ、枕崎台風に遭いながらも懸命に生き抜こうとするストーリーを、地元の10~60代の14人が熱演した。

 広島県府中町、大学1年花本栗実さん(19)は「想像できないほどの苦しみの上に今の広島があると分かった」と拍手を送っていた。

 公演は市民たち実行委の主催。プロデューサー富永芳美さん(60)=広島市中区=は「いつも子供は夢を持つという井上ひさしさんの思いを全員が吸収し、伝えることができた」と話していた。4日も2回の公演があり、既に予約で満員となっている。

(2010年7月4日朝刊掲載)

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