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被爆の惨状 高校生が描く 被爆者に聞き取り絵に

■記者 見田 崇志


 被爆者が見た原爆の惨状を、広島市内の高校生が描いている。若い世代が被爆者から直接聞き取り、絵で表現することで記憶を引き継ぐ。2月末の完成を目指し、絵は証言活動に活用する。

 取り組んでいるのは、基町高(広島市中区)の創造表現コースの1、2年生16人。原爆資料館(中区)の呼び掛けにこたえた。昨年10月から被爆体験の証言活動をする8人と打ち合わせを重ね、下絵ができつつある。

 爆心地から1キロ離れた自宅で被爆した寺本貴司さん(73)=廿日市市=の絵を担当する柴田紗希さん(16)は、崩れた家の中に閉じこめられた女性の姿を油絵で描く。昨年12月22日に原爆資料館であった打ち合わせでは下絵を持参して協議。寺本さんの「中心の女性をもっとクローズアップしてほしい」などのリクエストを受けて、デッサンし直しながら、表情や周囲の様子について入念にチェックした。「寺本さんのイメージになるべく近づけて、雰囲気がリアルに伝わるようにしたい」と意気込む。

 寺本さんは「悲劇を二度と起こさないために、自分たちはどうするのか、というメッセージも込めてほしい」と期待している。完成した絵は広島平和文化センターに寄贈する。センターは展示も検討している。

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