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福島から避難…51歳の挑戦 等々力さん福祉の道へ 島根県吉賀の専門学校に入学

 国の離職者訓練制度を使い介護福祉士を育てる島根県吉賀町真田の六日市医療技術専門学校で4日、入学式があった。東日本大震災の被災地、福島市から廿日市市吉和に自主避難した等々力(とどろき)隆広さん(51)は、親子3人を受け入れてくれた新天地への恩返しのため、介護福祉士の資格取得に向けスタートを切った。

 福島市郊外で妻と農業をしながら訪問介護の仕事をしていた等々力さん。震災が起きたのは長男を授かってすぐだった。妻の実家がある広島市へ母子2人がまず避難。福島と雰囲気が似ている吉和で2012年5月、親子3人で暮らし始めた。

 介護していた人や友人。「福島を離れるのは葛藤があった」と等々力さん。それでも果物を分けてくれ、福島の状況に耳を傾けてくれた吉和の人の優しさに触れ、小さい息子のためにも新たな故郷とする決心ができた。

 同校の募集を2月に知り入学を決めた。入学式では離職者26人を含む、56人の同級生と「人々の健康と福祉を守る」とする誓いの詞(ことば)を読み上げた。等々力さんは「しっかり学んでお年寄りたち困っている人の役に立てるように頑張りたい」と力を込めた。(江川裕介)

(2014年4月5日朝刊掲載)

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