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被爆国「自覚が必要」 「採点」世論を後押し ひろしまレポート 苦言や期待

 広島県が7日発表した「ひろしまレポート」は客観的な評価項目で、各国の核軍縮や核不拡散に向けたスタンスを浮かび上がらせた。唯一の被爆国でありながら評点トップとなり得ない日本に、広島の被爆者からは「もっと自覚が必要」の声が挙がる。一方、専門家は「被爆地の『採点』はきっと、世論を後押しする材料になる」と期待する。(松本恭治、金刺大五)

 調査対象31カ国のうち、日本は核軍縮5位、核不拡散4位、核物質の安全管理17位だった。例えば今回新たに採点した、核兵器の非人道性に焦点を当てた共同声明や、国際会議への対応。日本は昨年4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会で共同声明に賛同せず、3点満点中2点止まりだった。

 広島県被団協の坪井直理事長は「人類を滅亡に導く核兵器は全く不必要。廃絶に向け、日本はもっと積極的に動かなければ」と強く求める。湯崎英彦知事も「核兵器廃絶を訴えながら、米国の『核の傘』に依存する日本は、大きな矛盾を抱えている。核兵器に依存しない安全保障体制の構築に努力するべきだ」と訴えた。

 ひろしまレポートの影響力に期待するのは、広島修道大の佐渡紀子教授(国際安全保障)。「非人道的という言葉は世界を動かす。対人地雷やクラスター弾の禁止条約も、そうだった。核兵器保有国に圧力をかける取り組みにつながってほしい」という。

 核兵器保有国のうち、核軍縮と不拡散の採点分野で、比較的高い評価を受けたのが英国だった。「あの国は、国際的にも『核廃絶に一番近い核兵器国』と呼ばれる」と、長崎大核兵器廃絶研究センターの広瀬訓副センター長は解説。「結果は、英国の動きをよく捉えている。廃絶を求める英国民を後押しする可能性がある」とみている。

(2014年4月8日朝刊掲載)

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