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被災地の漁船12隻目完成 尾道市因島の石田造船

 広島県尾道市因島三庄町の石田造船は、東日本大震災で被災した福島県相馬市の相馬双葉漁協から受注した漁船1隻を建造した。8日、同漁協支所がある同県新地町で、引き渡し式がある。同社が被災地から受注して造った船は12隻になった。

 同漁協組合員の菅野元晴さん(51)=新地町=が5日、長男の貴寛さん(22)と同社を訪問。石田正憲社長(57)から説明を受けた。菅野さん親子が試運転後、新地町へと出航した。

 漁船は全長約17メートルで繊維強化プラスチック(FRP)製。刺し網漁を想定している。船底は揺れにくい形状にし、船首を低くして前方の視界もよくしている。同漁協が昨年10月、宮城県漁協から11隻を受注、建造した同社の評判を聞き発注した。震災時の津波で船を流された菅野さんに貸与する。

 福島県沿岸では現在も東京電力福島第1原発事故の影響で試験操業が続く。菅野さんは「操縦するのは震災以降初めて。感覚を取り戻したい」と話した。石田社長は「一日も早く、震災前の活気を取り戻してほしい」と願っていた。(鈴木大介)

(2014年4月8日朝刊掲載)

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