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被爆地の惨状 日本画で訴え 北広島で作品展 広島

 被爆者で日本画家の宮川啓五さん(86)=広島市西区=が、被爆地の惨状や祈りを描いた作品展を北広島町有田の商業施設サンクス内のギャラリー森で開いている。来年の被爆70年を前に、平和の尊さを訴える13点を出展する。13日まで。無料。

 薬つぼを手にする薬師如来を描いた「古陽」は、十分な治療を受けられずに亡くなった被爆者の供養を願う作品。花開く前のボタンに被爆死した若い女学生のイメージを重ねた「つぼみ」、川面で燃える小舟の周囲に何体もの遺体を描いた「熱湯の太田川」など大作を中心に並ぶ。

 安佐南区西原出身の宮川さんは18歳のとき、広島工業専門学校(現広島大工学部)へ通学中、爆心地から約3キロの西区大芝付近で被爆。腕にけがをした。3日後に行方不明の親戚を捜すため川舟で市中心部に入り、多くの遺体を目の当たりにしたという。

 同町の古保利薬師の仏像群を多く描く宮川さんに、ギャラリーが作品展を持ちかけた。宮川さんは「原爆を知る人が少なくなっている。絵を見てもらい、平和が100年先も続いてほしい」と話していた。(畑山尚史)

(2014年4月9日朝刊掲載)

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